事例紹介・お客様の声

高断熱高気密住宅M邸

施主ご夫妻とお会いしたのは、「永源寺の家」の完成見学会が初めてだった。工務店さんのお誘いで見学に来られ、僕が薄茶(抹茶)を点てて、皆で楽しくお話させて頂いたのを覚えている。
僕に会う前から、プランについても工務店さんと打合せを重ねて居られたので、その過程を尊重しながら設計を引き継いだ。

敷地は狭小住宅地にあるため、採光は1階よりも2階の方が明るい。そこで、LDKと和室を2階に配置した。2室は引込み戸で間仕切られ、ワンルームの様に使うことができる。家の端から端まで見通せるおかげで、実際の大きさよりも広く感じることが出来た。更に広さを体感できるように、勾配天井にして小屋組を表しとした。柱や梁の配列を整理し、構造が美しく整然と見えるように考慮した。ここは何度も図面を描いて検討した。 
僕は以前、画家のアトリエを2軒計画したことがあるが、2人が共通していたのは「天井が低いと発想が貧弱になるので、高ければ高いほど良い。」と言われたのを想い出す。

この様に広くて天井の高い気持ち良い空間を提案するには、冷暖房など光熱費の対策を講じる必要があった。 
この住宅は、高断熱高気密住宅である。フラット35S(旧住宅金融公庫)の優良住宅支援制度・省エネルギー基準に適合しており、設計審査及び現場審査とも合格している。また気密測定を行い、完成時の測定値はC=1.1であった。これは、北海道など寒冷地での基準値(北海道C=2.0、大阪C=5.0)を上回る大変満足のいく結果を残すことができた。 
施主にお話を聞くと、真冬でもご主人が仕事に出掛けるまでの間だけストーブを使用するが、日中は必要ないそうである。夏も同様に大変有効である。(ただ、南に大きな窓があるので、ゴーヤーを植えて直射日光をさえぎってもらわないといけない。) 

小さい子供さんに、「本物に触れてほしい。」という思いから、自然素材の建材にこだわった。床は桧。天井は杉。壁は漆喰塗り。和室の壁と引込み戸は和紙である。 
下駄箱は工芸家、冨島清・清子夫妻の作品。松の扉は大迫力。つまみも一つ一つ手作り。指の掛かり具合を確かめながら、曲線のラインを決めたと伺った。 
僕も恥ずかしながら、階段の照明を自作。図面を描いているだけではなく、物づくりの実践のため。材木屋さんの作業場をお借りして製作。無垢の桧と向日町の竹細工屋さんのすだれを使用。据付てみるとちょっと歪んでいたけれど……固定。 
それでも施主は喜んで下さった。僕が感謝。 

平成20年11月 

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